2025年8月21日木曜日

カセットMTRプリアンプがプラグインやギターペダルになっている流れの背景にMk.Geeがいたことを知った話


私は以前から、カセットMTRをプリアンプとして使うのが好きでした。特にギターやベースを直挿しして、Trimのツマミを上げていくと音が割れてくる。あのサウンドは、私にとってはとても刺激的なのです。


ギターならバリバリ、ベースならブリブリとした音に変わっていく。その変化がたまらなく好きで、数年前にもSNSでその音を紹介したことがありました。(*この一連のポストでは機種による音の違いにも触れていますので、興味ある方は覗いてみてください。)


1990年代、私や音楽仲間たちはカセットMTRを使って音楽制作をしていました。当時は(今もだけど)自分の部屋でギターアンプを大音量で鳴らして録音なんてできなかったので、ギターをカセットMTRに直挿しして、ヘッドフォンをつけて夜な夜な宅録していたのです。カセットMTRのプリアンプによる音割れに出会ったのも、まさにその時でした。


そんな経験が過去にあるため、今でもコンピュータを使った音楽制作の中で、あの音を追い求めてしまっています。カセットMTRをエミュレートしたプラグインもいろいろとありますが、特にあの独特な音割れや歪みを再現するものには、ずっとアンテナを張り続けています。


そして、ここ数年では、プラグインだけでなく、カセットMTRプリアンプを再現するギターペダルも見かけるようになりました。こちらの動画は、Tascam Portastudio 424のローファイ・トーンを再現したギターペダル、424Gain Stage by JHS Pedalsの紹介動画です。


そしたら先日(2025年8月8日)、PastToFutreReverbsさんからメールが届きまして、Neural Amp Modeler (NAM)用に、TASCAM 424PORTASTUDIOのプリアンプ・モデルをリリースしたとのことでした。


「ついにこの時が来たか!」私は手を叩いて喜びました。早速ゲットして試してみたのですが、クリーンのチープな感じも、ズバババと「音割れ」する感じもなかなか良いです。EQでHIGHを上げてやると、実際の音に更に近付くんじゃないかなという印象。

↑こちらはPTFRの公式動画です。

それはそうと、このモデルの正式タイトルを見て、驚きました。

「TASCAM 424 PORTASTUDIO MkGee PREAMP DISTORTION PLUGIN EXTENSION FOR NAM GENOME NAM UNIVERSAL」

TASCAM 424 PORTASTUDIOというキーワードに加えて、MK.Geeの名前が入っていたのです。


Mk.Geeは、アメリカはニュージャージー州出身で、現在はLAを拠点に活動しているシンガーソングライター/プロデューサー。DijonやJustin Bieverなどとのコラボ歴もあり、これからのインディーシーンを牽引する存在のひとりとして注目を浴びています。

櫻坂46の「五月雨よ」MVくらい仰け反ります

私は昨年、Spotifyで彼のAre You Looking Upを聴いて以来、すっかり気に入ってしまっています。耳に心地よく、どこか懐かしいサウンド...というよりも、初めて聴いたのに「何か知っているような音」だなと勝手に共感しちゃったりしていました。


そんなワケで 「TASCAM 424 PORTASTUDIO MkGee」で検索してみたところ、Mk.Geeギターサウンドの秘密について説明している海外の記事や、YouTubeではHowTo動画なども多数見つかりました。


実際に彼がギターをTASCAM 424 PORTASTUDIOに繋いでいることが分かり、それを証明する動画も見つかりました。こちらの動画によると「ミキサー」という位置づけで使用しているようですね。しかし、とても興味深い!


自分が90年代から愛してきた「あの音」が、今こうして注目されているワケです。しかも、今もなおカセットMTRをアンプシミュレーター代わりに使っている私にとって、Mk.Geeのサウンドが評価されることで、カセットMTRプリアンプの音が再評価されているのは本当に素晴らしい流れだと思います。


カセットMTR プリアンプの「音割れサウンド」が好きな人は私だけじゃないはずです。あのプラスティックでバリバリズバズバっとした音に魅了された人も少なくないと思っています。当時の宅録キッズも今の世代の人たちもみんなで楽しめたらいいなと思います。ローファイ万歳。


あまりにも流行ってしまうのは困っちゃうんですけどね...笑


ということで、今回はここまで。
それではまた。


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*私ヒの字が制作した音楽やお仕事の詳細はコチラからご覧いただけます。

→ ヒの字 (Hideki Inoue) Homepage



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2025年6月19日木曜日

ただ音を鳴らすだけの企画 - 音楽を作れなくなった先にあったもの

 


ただ音を鳴らすだけの企画、OtonoDiary - オトノダイアリ - (sound diary)について、お話ししていきます。
(自分で書いた雑な文章をAIに整えてもらい、それを参考にしながら書き直しました。)


ただ音を鳴らすだけの企画
And this is just a sound doodle...


ここ数年の間に起こった様々な出来事や心境の変化*を経て、これまで取り組んできた従来の作曲から少し距離を置き、しばらくは「ただ音を鳴らすだけ」を続けてみようと考えています。


英語で言ったらSound Doodle(音の落書き)といったところです。以前、ほぼ毎晩、寝る前にベッドでノートに落書きをする習慣がありました。それに似た音の記録として、この企画を「OtonoDiary - オトノダイアリ - (sound diary)」と名付けました。


基本的には、即興演奏と生成音楽の組合せがベースになっています。そして、演奏した結果の音を分割して、ランダムに並べかえたり、ひとつのフレーズを切り抜いて反復させたり、グリッドからはみ出したり…などなど、実験的にいろんな「仕掛け」を試していきます。

このシリーズでは、ある程度のところからは、自分でコントロールできない、自分の意図しない音が偶発的に鳴ってしまいます。なのですが、それもそのまま受け入れ、自分なりの楽しみや聴きどころとしています。


それはきっと、これまで作っていたような音楽を作れなくなったことや、音楽を作ること自体がなんとなく楽しくなくなってしまった自分を受け入れたことがきっかけで、「ただ音を鳴らすだけ」という企画に辿り着いた…。その一連の流れと繋がっている気がしています。つまるところ、今の状況や自分自身を受け入れたことと、自然と(または偶然にも)重なっているのかもしれません。

ここに至るまで、「あ、もしかしたら、こういう感じで音楽をやめていくのかもな…」と思う瞬間が、何度かありました。それでも、ふと気付けば、音楽を「作ろう」とするのではなく、ただただ音を鳴らしている自分がいました。


でもそれって、ともすると最初の最初に戻ったのかなとも思っています。最初に楽器に触れたとき、新しい楽器や機材を手に入れたとき、説明書も読まずに、ただただ手探りで音を鳴らしてみる。曲作りを始める前の、そうした感覚に近いんだと思います。

さらに言うと、自分が鳴らす音と真正面に向き合う中で、昔から持っていた感覚が研ぎ澄まされていくことすら感じています。だからこそ、この音を「作品」として形にしていこうと思ったのです。


ちなみに、こんな風に私がただ鳴らしただけの音は、一般的にどのようなジャンルに分類させるのかと思い、AI(無料版Copilotなど)に過去2、3年分の私の音を聴かせてみました。その結果から、ジャンル名やキーワードを以下にリストアップしますね。

・Experimental Music(実験音楽)
・Ambient Music
 ・IDM
・Glitch Music
・Microsound
・Granular Synthesis
・Generative Music(偶発性の強い生成音楽)
・Sound Design
・Sound Art
・Soundscape

なるほどなるほど。自分ではなかなか上手く説明できなかったりする場面が多いので、こうしてジャンルで言ってもらえると、ありがたいです。


また、ジャンルの相談をした時に、AIが音の特徴についても触れてくれていました。それらを引用したり、まとめたりしたものがコチラです。

「集中したい時やリラックスしたい時にピッタリ。」

「伝統的な作曲方法とは異なり、メロディやリズムよりも、音の層や効果に重点を置いている。」

「デジタル・マニュピレーションとサウンドデザインを活用して、独自の聴覚体験を生み出す、実験的な音楽ジャンルを示唆している。」

「意図と偶然の交差点」を探る創作スタイル

「歪んだ時間、断片化された記憶、浮遊する音の波。視覚と聴覚が交差する、シネマティックな音の世界。」

ここまで言われると、もはやこっぱずかしいですね。


でも、AIに聞いてみたことで、自分の方向性がより明確になったと思うし、やはり原点回帰というか、なにしろまず最初に「音を鳴らす」があるんだなと思います。


これまで、なにかを企画しても企画倒れだったり、長続きしないことが多かった私ですが、「ただ音を鳴らすだけ」なら、ずっとやってこれたことだから、このまま鳴らし続けられるかな...。そんな気がしています。


(追記)いろいろ言ってますが、「ただ音を鳴らすだけ」というスタイルに固執しなくても、いろいろゆるりとやっていけたらそれが一番かな~と思っています。「ただ音を鳴らすだけ」と「未完成な音楽」のあいだの何か...といった感じですね。


とにかくとりあえず、当面はYouTube、InstagramなどのSNSでアップしていきます。


かっちりした音楽じゃなくてもいいんだけど、なにか音がほしいなぁって時に聞き流してもらえたら嬉しいです。



(*最初の方で触れた「ここ数年の間に起こった様々な出来事や心境の変化」の詳細については、機会があったらどこかにまとめたいと思っています。

2025年2月23日日曜日

ヒの字(Hideki Inoue) Homepage


ヒの字 (Hideki Inoue)


プロフィール

音楽屋さん/翻訳屋さん
Freelance Composer/Translator (JPN⇔ENG)

オルタナティブ BGMer

シンプルだけどクセになる音楽
上手くないけど味のある音楽
ちょっと実験的でアート寄りな音楽
を目指して音楽制作をしています

主な影響

海外のインディーロック
ローファイロック
クラシックロック
アメリカーナ
レトロ/オールディーズ
エレクトロニック・ミュージック
実験音楽
モダンアート

*音楽制作のご依頼は要相談で...。

2024年5月16日木曜日

【お知らせ】フリーBGMの用途や使用許可などについて個別のお問合せには対応しておりません


 はい、ヒの字です。

まずは、いつも私ヒの字が作った音楽を聴いてくださったり、ルールを守ってご利用してくださったり、またSNSなどでいいねやレスしてくださったりと、本当にありがとうございます!

さて、ここからがこ本題になります。以前よりはかなり減ったのですが、ここ最近またちょいちょいくるようになったので、念のため改めてこちらでもお伝えしておきたいと思います。

私ヒの字が制作したフリーBGMの用途や使用許可などについて、お問合せメールをいただくことがあるのですが、基本的に個別での返信はしておりません。

曲をダウンロードしたサイトの利用規約などをよくお読みの上、自己責任でご判断くださいますようお願いいたします。

2024年1月9日火曜日

当ブログのプライバシーポリシーについて

 「All You Need Is Fingers」(以下「当ブログ」)のプライバシーポリシー・免責事項を次の通り記載します。

また、当ブログを利用される方は以下に記載します条件について同意したものとみなします。

2022年7月13日水曜日

サンプルを使用しないギター音源 Studio Major7thのSSG7 V:デモソングを制作しました。


はい、ヒの字です。 

今回は、Studio Major7thさんの新商品、サンプルを使用しないギター音源 SSG7 Vでデモソングを制作しましたので、そのお話をしていこうと思います。

*Studio Major7thさんのギター音源はWindows版のみになります。

2022年4月8日金曜日

Samplesonのメロディカ音源 Melox Pro:インストール後に音が出ない時の解決策(ヒの字の場合)

 

はい、ヒの字です。

Samplesonのメロディカ音源 Melox Pro。

インストールしたけど音が鳴らないという経験をしまして、今年の頭に自分の環境(Windows 10 64bit)では解決できたので、その記憶を辿りながらシェアしていこうと思います。

*私の場合はこれで解決したのですが、この記事を見て同じようにされる方は自己責任でお願いしますね。