2021年4月8日木曜日

HoRNetのTheNormalizerで「自動ミキシング」ができるらしいので試してみた - iZotope Neutron 3 Mix Assistantとの比較あり


*この記事では便宜上、「自動ミキシング」と表現させていただいてております

はい、ヒの字です。

曲はできているのにミキシングで無駄に時間を食ってしまう。AI技術の進化で「自動ミキシング」してくれるプラグインがいろいろあるのは知っているけど、クレイジーセールにでもならないとお値段的に手が届かない...。

そんなあなたにちょっと朗報。

すべてを叶えてくれるワケではないけど、トラックレベルの簡易的なバランス調整くらいのことなら、HoRNetさんのTheNormalizer(通常9.99ユーロ)でできそうかもよ!?という話をしていこうと思いますのでどうぞよろしくお付き合いください。

実際にTheNormalizerで「自動ミキシング」を試したり、iZotope Neutron 3のMix Assistantと比べたりしてみましたのでお楽しみに!

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イタリアのHoRNetさんがリリースしているプラグインの中には、ThirtyOne (自動EQ)やTrackShaper (自動EQ&コンプ)、MasterTool (自動マスタリング)などの「自動プラグイン」がけっこうあります。それでいて価格もお安めなので、私は割とコンプリートしちゃっています。

TheNormalizerもリリース直後にゲットしていて、お仕事などで作った曲の仮ミックスのレベル合わせなどで使っていました。ところがリリースから数か月後に公開されたOverview動画で、ゲインステージングや簡易ミキシングの方法を紹介しているんですね。

ちょっとこちらをご覧ください。


HoRNetさん式ゲインステージング&簡易ミキシング

上の動画をざっくりまとめると、各トラックにTheNormalizerのインスタンスを挿入してグループ化した上で、ゲインステージングや簡易ミキシングを行っています。

下にその手順やらをまとめますね。

1.ひとつのトラックにTheNormalizerのインスタンスを挿入。

2.先にグループの設定をしてから、その他のトラックにコピペ。

Groupのプルダウンメニュー

3.Measureの設定:ゲインステージングではVU(-18)、ミキシングではLUFS Shrt.(グループ化しているので、ひとつのインスタンスの設定変更が他の全てのインスタンスに適応されています)

Measureのプルダウンメニュー

4.NORMALIZEボタンの下にあるTOでお好みのレベルを設定。
クリック&上下ドラッグ、またはダブルクリックして数値を入力します。

5.準備が整ったところでNORMALIZEがオフになっていることを確認します。
それからANALYZEボタンをクリックして、曲を再生。

!!!注意!!!
動画でお気付きかと思いますが、NORMALIZEがオンになっていると、トラックのピークが真っ赤っかになるので、NORMALIZEはオフ!絶対にオフ!!
NORMALIZEはオフ!

6.曲を再生している時に右下のGainの数値が変化していきます。それがNORMALIZEをオンにした時に適応されるワケですね。

7.曲が終わったところで初めてNORMALIZEをオンにして終了。

8.おつかれさまでした~☕

実際に自動ミキシングを試してみた

さぁ、実験タイムの時間です。

HoRNetさんの動画ではドラムキットのミキシング(各トラックレベルのバランス)を行っていますが、バンドスタイルの曲だったらどうだろう?って思っちゃうワケです。

HoRNetさんの解説では、TheNormalizerでゲインステージングを行い、各トラックのサウンド処理をしたと想定した上で、各トラックにTheNormalizerの別インスタンスを挿入しています(グループ設定はGroup2)。

それから、「人間の聴覚に基づいたレベル調節を行う」ため、MeasureはLUFS Shrt.に設定し、TOでお好みのターゲット・レベルを設定をしています。これを私もやってみようと。

で、今回はせっかくの「自動ミキシング」の実験ということで、ゲインステージング後のサウンド処理として、Focusriteとsonibleが共同開発した「自動EQプラグイン 」Balancerを各トラックとマスターバスに挿してみました。

各トラックに挿入したBalancer

それで、TheNormalizerで「自動ミキシング」が済んだあと、マスターバスに更にもうひとつのインスタンスを挿し、今度はMeasureはLUFS Int.に設定して、TOのターゲットレベルを-15.0LUFSにして2mixを書き出しました。


はい。こちらが今回、TheNormalizerで「自動ミキシング」した音源になります。
(自動ミキシング後のフェーダなどによる微調整はしていません)


どうでしょうか?なかなか悪くないのでは?

もちろん、ここからレベルの微調整やサウンド処理をやった方が良い感じですが、トラックレベルの調整って点では個人的には「使える」って印象を持ちました。

iZotope Neutron 3のMix Assistantとの比較

「自動ミキシング」ってワードがでてきたら、やはり皆さんの頭にポンと浮かぶのはiZotope Neutron 3のMix Assistantだと思います。

はい、HoRNetのTheNormalizerとNeutron 3を戦わせたくなりました 笑

ということでさっそく、ヒの字の自己流「FocusしないMix Assistant その2」、つまり全トラック(今回は4トラック)をFocusして、Neutron 3のMix Assistantによる自動ミキシングしました。

*FocusしないMix Assistantの詳細についてはこちらをご覧ください。

条件を同じにしたかったので、TheNormalizerでゲインステージングしてBlancerでサウンド処理を行ったその下段にRelayを挿入して、Neutron 3 Visual MixerからMix Assistantに各トラックのレベルを調節してもらいました。

また、先ほどと同様に、マスターバスのTheNormalizerでMeasureをLUFS Int.、TOのターゲットレベルを-15.0LUFSに設定して2mixを書き出しています。

その音源がこちら。もちろん後の微調整なしです。


とまぁ、こんな感じです。ふむふむ。

まとめましょうか

プラグインとかにそんなにお金がかけられないけど、各トラックの音量バランスはできれば時短でいきたいという方にとって、HoRNetのTheNormalizerはなかなかご希望に沿うことができるプラグインなんじゃないかなと思います。

iZotope Neutron 3でMix Assistantが使えるのはAdvancedバージョンで、お値段もiZotope Japanさんの公式HPで¥46,090(税込)です。でもHoRNetのTheNormalizerなら9.99ユーロ。今のレート(2021年4月現在)でざっくり日本円に換算して税金を乗っけても¥1,500前後というかなり激安。

それに、iZotope N3でMix Assistantをする場合、各トラックに挿入したRelay全部に名前を付けてやらないといけなくて面倒だけど、TheNormalizerにはそれがないので素早く「自動ミキシング」に取り掛かれる。

ただ、TheNormalizerにひとつリクエストするのであれば、プラグイン内で出力レベルの調節ができると嬉しいかな。「自動ミキシング」後に微調整したい!

Neutron 3 AdvancedのMix Assistantではそれができるし、RelayではなくN3のマザーシッププラグインだったら、そこからトラック・アシスタントで各トラックのサウンド処理もできちゃう。

てか、BalancerはTheNormalizerの「自動ミキシング」後にやるべきでしたね。今さらなのですが…(苦笑)。

ちょっと行ったり来たりしちゃいました。でも、実験のところで触れた自動EQプラグイン Balancerなんかも無料配布していたし、このTheNormalizerもとてもお安い。そんな時代になったんだなぁと思ってみたり...。

例えばですよ?今日からいきなりiZotopeさんが存在しない世界になったとしたら、Neutron 3 AdvancedのMix Assistant代替品は、やはりHoRNetのTheNormalizerになるのかなぁ...なんて妄想しちゃったりしました。

ほら。まとまらなくなってきたのでこの辺にしておきますね。笑

(割と頻繁にセールもやっていますよ~♪)

はい。今回は以上です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

それではまた。

こちらも併せてどうぞ

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